心臓の診察
心臓は、酸素や栄養をポンプのように全身に送り出している臓器。身体を機能させるための要ともいえる役目を持つので、重篤化するまで症状が出にくい器官です。
犬では第2位、猫では第4位の死亡原因とされており、発生しやすい症状としては、小型犬では高齢による弁膜症、大型犬や猫では心筋症があげられます。発症初期では症状が現れない場合がほとんどなので、早期発見のためにも、当院では高齢となった犬猫の飼い主さまに、心臓の健康診断をおすすめしています。
主な心臓の病気
弁膜症(べんまくしょう)
弁膜症は、心臓の弁が本来の機能を果たせなくなることで引き起こされる病気です。
特に高齢の犬に発症する例が多く、心臓病を持っている割合は、若い犬では最大15%とされていますが、年を取った犬ではこの割合が60%以上にまで上昇すると言われています。
中でもマルチーズ、シーズー、ポメラニアン、プードル、キャバリアなどの小型犬に多く見られるのが「僧房弁閉鎖不全症」です。
僧房弁閉鎖不全症は、僧房弁(そうぼうべん)と呼ばれる、左心房と左心室の間の弁に障害が起こることで発症し、進行すると肺水腫(はいすいしゅ)から呼吸困難を起こし、生命の危険に関わります。
心筋症(しんきんしょう)
心臓の筋肉が原因となる心筋症は、大きく「拡張型心筋症」と「肥大型心筋症」という2種類の病気に分けられます。
「拡張型心筋症」はドーベルマン、グレートデン、ブルドッグなどの大型犬に多いとされ、心室にある筋肉の収縮機能が落ちてしまうことで、心臓が広がってしまう病気です。
「肥大型心筋症」は猫に多く見られる症例です。猫の心疾患は判断が非常に難しく、胸の聴診だけでは、70%は異常を検出することができないといわれています。
心臓の検査
聴診、触診
聴診では、心臓に流れる血液の音を確認します。心臓病では「心雑音(しんざつおん)」と呼ばれる、血流の乱れる音が聞こえることが多く、心雑音の場所から病気の候補が絞れる場合もあります。触診では、重症化した場合に分かる「スリル」という胸壁の振動を確認します。ただし、心臓病の中には、心雑音がないものも存在します。
また、心雑音が大きくなくても重症となっている場合もあります。そのため、心雑音が聴取されたときには、エコー検査を中心に追加の検査を行っていくのが一般的です。
血液検査
心臓病にかかると血液検査でもさまざまな項目で変化が見られます。中でも特別な血液検査マーカーとして使用されているのがNT-proBNPです。
NT-proBNPは心筋への負担を数値として測定するもので、心不全の重症度や心臓病の早期診断を行うのにも有用です。
レントゲン検査
レントゲンは、特に心臓の大きさを見るのに有効とされる検査です。あわせて肺や血管の異常の有無についても確認を行うことで、心臓超音波(エコー)検査では検出できない肺の病気についても診断が可能です。
心電図検査
不整脈を診断するために行うのが心電図検査です。
心臓の鼓動が不規則な場合、不整脈が予想されますが、その種類を特定する必要があります。それが病的なものなのか、そうでないのかを見極めて、治療の必要性を判断します。
心臓超音波(エコー)検査
絶えず動く心臓の、実際の動きを見ることができるのが、心臓超音波(エコー)検査です。心臓の収縮や血液の流れる速さなども分かるため、早期の心臓病でも、正確に重症度を診断することが可能です。
また、治療にどのような薬を用いるのかという判断も、主にこの検査の結果によって決められます。
心臓の健康診断
当院では年齢を重ねた犬猫を対象に、「心臓の健康診断」をおすすめしています。
検査内容
聴診を含めた身体検査
血液検査(NT-proBNP:後日結果報告)
レントゲン検査
心電図検査
心エコー検査
検査の流れ
午前中の診療時間(9:00-12:00)にお預かり
お昼の間に検査
当日の午後の診療時間(16:00-19:00)にお迎え、検査結果のご説明。
(NT-proBNPは後日報告となります)
費用
体重(10kg毎)によって変わります。
基本的な料金についてはこちらをご確認ください。