免疫細胞療法|東京都 東久留米市

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写真はイメージです。

免疫細胞療法とは?

動物には病気や怪我に対して自分で治そうとする「免疫力」という自然治癒力が備わっており、体内にできたがんや体の中に侵入した細菌やウイルスを攻撃します。免疫細胞療法は、このような生まれつき備わっている免疫力を利用したり、免疫力を高めたりすることで、がんの発症や進行を抑える治療方法です。

がんの治療は
1. 外科手術
2. 化学療法(抗がん剤療法)
3. 放射線療法
の三大療法がこれまで主流を占めてきました。

これに継ぐ第4の療法として、免疫療法は世界中で研究され、ヒト医療の領域では臨床的な効果が得られる治療法になりました。現在、免疫療法は四番目のがん治療法として、三大療法と併用することでさらなる治療効果があることが期待されている治療法です。

一方で、動物医療の領域ではその適応範囲や効果は限定されるものの、従来の治療と組み合わせることで治療効果の増強やQOLの改善(痛みの軽減や活動性の改善)が期待できる治療法として、研究が進んできています。

当院では、従来から行っているヒトの丸山ワクチンの原理を利用した免疫療法に加え、免疫細胞療法も実施しています。現在、Tリンパ球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞を用いた免疫細胞療法を提供しております。

 

*培養機器の都合上、免疫細胞療法は武蔵小金井本院での対応となります。

免疫細胞療法

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当院で標準的に実施している免疫細胞療法は「CAT療法」「KC療法」「Alpha DC療法」です。

いずれの治療法も、10cc程度の採血を実施したのち1~2週間程度培養し、大量に増殖・活性化した細胞を体にお戻しします。自分自身の細胞を使用するため、副作用の少ない治療方法です。

これらの治療方法は大まかに「体の免疫力を支える治療」と「残存病巣を叩く治療」に大別されます。

 

体の免疫力を支える免疫療法(犬・猫)

●CAT(CD3 Activated T Lymphocyte 療法)
【特徴】

・免疫細胞の一つであるTリンパ球を増殖、活性化する治療方法です。

・手術が受けられない場合などに、全体的に免疫力を引き上げてQOLを向上させること(内因性オピオイドによる痛みの軽減など)が主たる目的です。

・微小な癌に対してよい適応と考えられ、術後の再発予防や延命を目的とした使用に効果的です。

【注意点】

・採血から投与まで2週間前後の時間が必要です。

・非特異的で、がんへの集積率(集まり)、がん縮小率が良くありません。

・当院ではT細胞性リンパ腫に対しては実施しておりません(腫瘍細胞を増殖させる可能性があるため)。

・猫エイズ、白血病陽性の猫に対しては実施しておりません(ウイルスも増殖させる危険があるため)。

 

残存病巣を叩く免疫療法(犬のみ)

●Alpha DC(Alpha Dendritic Cell療法)
【特徴】

・免疫細胞の一つである単球(樹状細胞)を増殖、活性化する治療方法です。

・パルス樹状細胞自体が成熟・活性化し、がん細胞のアポトーシス (自殺)を誘導します。転移巣や残像病巣に対する攻撃が主たる目的です。

・短期間(1週間)での投与が可能です。

【注意点】

・治療実績が少ないため治療効果/副作用、共にデータが乏しいです。

・基本的に領域リンパ節が残存しているケースが対象となります。

・当院では組織級肉腫に対しては実施しておりません(腫瘍細胞を増殖させる可能性があるため)。

 

●KC(Natural Killer Cell療法)
【特徴】

・免疫細胞の一つであるナチュラルキラー細胞を増殖、活性化する治療方法です。

・全身に散らばる「小さながん」を非特異的に攻撃します。

【注意点】

・採血から培養後の投与まで2週間前後の時間が必要です。

・当院ではT細胞性リンパ腫に対しては実施しておりません(腫瘍細胞を増殖させる可能性があるため)。

・猫エイズ、白血病陽性の猫に対しては実施しておりません(ウイルスも増殖させる危険があるため)。

 

治療の流れ

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イヌ、ネコの血液(10-12mlを採血)からリンパ球を回収し、薬剤を加えてリンパ球の活性化・増殖を行ないます。1-2週間後、増殖・活性化した免疫細胞を洗浄・回収し、点滴で体内に戻します。

 

対象となる疾患

悪性腫瘍全般が治療対象となります。

統計的にはリンパ腫、メラノーマ、血管肉腫、乳腺癌、肝細胞腫瘍に対して多く使用されています。